PSUイルミナスの野望、及びPSO2(予定)での日々の出来事を書いてます。
架空星
2018 051234567891011121314151617181920212223242526272829302018 07

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
web拍手 by FC2
[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | TB(-) | CM(-) | 編集

PSU二次小説 ~第4章:前編~

CN EGILさん作のPSU二次小説、第4章:前編です。
以前の作品はこちらを御覧ください。
PSU二次小説 ~序章~
PSU二次小説 ~第1章~
PSU二次小説 ~第2章~
PSU二次小説 ~第3章~

第四章 信仰すべきもの 前編
……はっきり言おう、今の俺は正直言って最悪に虫の居所が悪い。だがその鬱憤を晴らそうにもそれすらも出来ない状況にある。

わかりやすく説明しよう。時刻は夕食時、せっかく仕事を終えて半日ぐらいは自室で休養を取る予定だったが、眠りについてから僅か2時間たらずでクアールに優しく起こされ、部屋にあったビジフォンに写っていたジーンの容赦ない招集命令で無理やり目を覚まされ、すぐさま軽装型野戦服に着替え、足早にジーンのオフィスルームに戻ってきたというわけだ。

仕事が終わって休暇の一つでも取れる、なんて事は今の時期微塵も思ってもいないんだが。こう本当に休む暇もないほど頻繁に仕事が入ってくると、戦場で倒れるよりも、過労でぶっ倒れる方が高いような気がしてならない。

呼び出した当の本人は、俺の横で黒い革張りのモダンチェアーに、足を組み深々と座りながら、優雅にお気に入りのコーヒーを飲んでいらっしゃる。もちろん俺の分はない、その上せめてソファーに座ろうと思ったらこれから客人が来るという事で座るなと言われた。正直言って泣きそうだった。

だからといって駄々をこねても何の意味もない。したところでまるで汚物を見るような面構えで睨みつけられ、最終的に給料を減らされるという痛恨の追い打ちを味わう結末を迎える事になるだろう。そして仕方なくその客人が来るまでずっと立ったまま、こうしてジーンの横でじっと待っているってわけだ。もうかれこれ40分は経っている。

俺の虫の居所が悪い理由をお分かりいただけただろうか?

『……まだ気だるさと眠気と疲労感が取れない俺に気を利かせて、コーヒーの一杯ぐらい出してもらってもいいような気がするのですが?』

と、つい皮肉が出てしまった。しかしそんな俺の言葉なんか知ったことかと言わんばかりに、表情一つ崩さずお気に入りのコーヒーを一口すする。

『それは困るな、ブリーフィング前にそんな状態ではこれから訪れる客人に対して失礼というものだ。では提案としてトレーニングでもしているといい、トラブルに備えて体を温めておくのも大切だからな』

この口ぶりからすると、よりにもよってこのFMC本社で事を荒げようとする相当な礼儀知らずの荒っぽい客人が来るということなのか?なんとなく相手を知っているような感じがするが、どうにもまだ胡散臭い感じがして確信が得られない。

ともかくあれこれ考えてもこの疲労感は消えやしない。ならジーンの提案通りある程度血をたぎらせておけば、それなりにマシにはなるだろ。
 
『では、お言葉に甘えて』

軽く身構え、その場でシャドーボクシングをする。ジャブ、ジャブ、ワンテンポおいてリズムよくワンツー、そしてその勢いを利用して腰の捻りを効かしたフックを放ち、締めのアッパースイングブロウを繰り出す。いい具合に空を斬る拳から風きり音が鳴る。中途半端な仮眠のせいで多少キレが悪くなっていると思っていたが、思ったより調子は悪くはない。

そして少し間をおいてそれを数度繰り返す。

『うむ、重みがあってキレのあるいい動きだ、調子はよさそうだな』

皮肉ではなく本当に感心しているような面持ちで言ってくれている。ここは素直に変な返しをせず、淡々とトレーニングを続ける。

『それで…依頼人というのは……誰なんです?』

その最中、思っていたことをついでに聞いてみる。丁度コーヒーを飲み干したのか、カップをデスクの上に置き、背伸びをするように深くモダンチェアーにもたれかかる。そして僅かに口元を緩ませ、何か裏があるような笑みを浮かべながら。

『すぐに分かる、我々もよく知っていて実に面白い依頼人が時期ここにくる』

と言い放つ。
人気テレビリポーターのキャストかそれとも万年人気爆発中の巫女様か?そんなわけがないか、考えてみればガーディアンズと違ってそんな芸能人みたいなものがこんな物騒なところに何を依頼する必要があるのか。まぁジーンの口ぶりからして相当VIPかあるいは変人なのだろう。

そもそも直に分かることなのに、それをあえて言わないという事はよっぽどの相手という事だ。

まぁ今ははただ待つことにしよう。


それからまた20分ほど経った頃だろうか。
『社長、依頼人がご到着されました』

不意をついたかのように社内回線用の端末から連絡が入る。その声に反応したジーンが、デスクの端末を操作するとビジフォンが浮かび上がり、そこにいつもの美人の受付嬢が映し出される。

『おいでなすったぞ、身なりを整えろ』

『いや野戦服なので特に整える所なんてないと思うのですが?』

『右肘と左膝のプロテクターが少しずれているぞ?』

……どれだけ目がいいんだこの人は。本当に身なりに関してはとことんうるさいのが傷だ。身なりはビジネスの基本中の基本とかなり口酸っぱく言われた事があったが、俺としては全く興味ないわけで、今も護衛として付いている程度なのになんでそこまでこだわる必要があるのか俺には理解が出来ない。

『OKです、いつでもいいですよ』
緩んでいたベルトをきっちりと締め直す。念のため野戦服のホコリやシワが目立たないようしっかりと叩いて生地もしっかりと伸ばしておく。これ以上お小言を言われないためにもな。

『よし案内してやってくれ、くれぐれも粗相のないよう丁重にエスコートしてくれ』

ビジフォンを消し、一息ついて俺に目を合わせてきた。すでにその表情は一変していてFMC社長として威厳のある面構えになっている。だが今回のその目はどこか楽しそうだ。

『さて、どんな依頼を持ってくるか、私としても楽しみだ』



そして数分後。

『社長、依頼人をお連れしました』

『きたかお通ししろ』

ドアがスライドし、オフィスルームに入ってきた依頼人を一見する。だがその依頼人の姿を見て俺は目を丸くした。


一昔前の貴族とも思わせるような高級感漂う儀礼服、細くまとめた金髪のツインテール、その外見だけだと非常に可愛らしい容姿なんだが、見事に台無しにしてしまっている険しい顔つきしたビースト特有の面構え。

間違いない、彼女は。

『ようこそ、我がF,M,Cへ、顔を合わせるのは今回が初めてでしたね?ガーディアンズ第18代、ライア・マルチネス総裁、我々はあなたを歓迎…』

『どうでもいい前置きはいらないよ、さっさと話をしようじゃないか』

せっかくの紳士的なジーンの挨拶をいきなり拒否するなんてねぇ。なるほど、こいつは面白い依頼人がやってきた。さっきまでの疲労感が嘘のようになくなってしまった。

ニュースで見たイメージ通り、気の強い女だ。ジーンを相手に完全に上から目線の物言いだ。俺たちの様なタイプを相当毛嫌いしているということもあるかもしれないが、相手の力量を知らずに、いきなりこんな低レベルな口調で話す奴がよく総裁という立場になれたものだ。

ガーディアンズの総裁任命基準ってのはイマイチ理解できない。

『これは失礼、しかし依頼には十分な時間を必要としますのでゆっくりと話をしましょう。焦ることはありません、お互いにそのための時間を作ったはずですから』

『ふん、あんた等のような奴と話しているだけでも虫唾が走るからさっさと終わらせたいだけさ』

とてもこれから依頼をするようには思えない態度だ。ウケ狙いのジョークのつもりだろうか?

『随分と嫌われたものだ…あなたの機嫌を損ねるような事をした覚えは何一つないのですが?』

この言葉にライア総裁殿がジーンに対し鋭い視線を送る。自分達の組織がどんな事をしているかを知っててどの口がほざくかって感じの目だな、あれは。

『まぁいいでしょう。紹介しておきましょう、こちらはわが社の優秀な社員であるEGILだ。訳あってコードネームでしか紹介出来ませんが、信頼の置ける社員です。今回そちらはお一人で?』

今度はライア総裁殿が俺のほうを見る。ほとんど睨まれていると言ったほうが正しいがな。

『私の護衛役があんた等の入念なボディチェックを受けてる。それが終わったらそいつもここに来ることになってる』

その時再びドアがスライドして、その護衛役と思われる人物が入ってきた。驚いたことにそいつもニュースで腐るほど見た顔の奴だった。

『ただいま終わりました。待たせてすいませんライア総裁』

『それほど待ってもいないよイーサン、これから始まるところだ』

なんてこった、まさかこいつと直に会うことが出来るとは。今日は本当にVIP日和だな。変な笑いがこみ上げてくるが、表に出さないようしっかりと我慢する。

イーサン。ウェーバー。前総裁オーベル・ダルガン暗殺未遂により指名手配されてニュースで話題になっていた男だ。後にその無実が証明され、ガーディアンズに復帰。SEED殲滅のために合の時を成功に貢献した一人らしい。その事を表彰され、ガーディアンズや一部の市民からは英雄として扱われている幸せ者だ。

なるほど、依頼話をするにはたしかに豪華な面子だ。こいつは確かに面白くなってきた。さてさて、どうなることやら、じっくりこの商談の成り行きを見させてもらうか。

『では早速依頼を聞かせてもらいましょうか』

『あんた等がくれた情報、一通り目を通させてもらったよ。詳しいデータのおかげで私が狙われているということがはっきり分かった。そのことには感謝させてもらうよ』

俺がモトゥブでのハンティングミッションで入手したあの情報端末か。いつの間にかガーディアンズの方にその揺すりが行っていたなんてな。どうやら中の情報は相当に信憑性のある物だったみたいだ。

『それは光栄です、我が社の情報が当てになったことは私としてもとても喜ばしいことです、それで?』

『単刀直入に言わせてもらうよ。その中にあった武器の密売人に関する事なんだが、その中の一人をとっつかまえて欲しいんだ』

『捕まえる?どういうことでしょうか?それはあなた方の仕事のはずでは?』

『それが難しいからこうして依頼に来てんだ。そいつはニューデイズのグラール教団の幹部で逮捕しようにも正攻法じゃあ色々と制約があって、踏み切ることが出来ないんだ』
『ちょっと待ってください……我々が送った情報を確かに見たと貴方は仰っていましたよね?何のためにそれがあると思っているのですか?それを証拠に何故強引にでも逮捕しようとしないのですか?』

『ハン!これだから粗暴な傭兵集団は何もわかっちゃいないね。そんな土足で相手の領域に入るような真似をして、長い時間をかけてようやく結びつくことが出来たニューマンとの友好関係に亀裂が入ればどうするんだ?あんたはその友好関係を捨ててまで踏み入れろって言うのかい?』

『………ふむ』
『確かにこの情報は正しいものだよ、だけどそのことを教団に問い合わせても、まったくの無関係だと真っ向から否定された。そんな事実のはっきりしない曖昧な状態で強攻策をとったら、教団に対する冒涜だの大事になって、ただでさえ不安定な種族の関係が今度こそ崩壊してしまったらどうするんだい?』

『なるほど、そこで我々傭兵という非正規部隊の出番というわけですね?』

『そういうことさ、非正規部隊という立場なら、教団の目に触れることなく密売人を連れ出すことが出来る。そこでより確かな証拠を掴んで関係者全員を芋づるで捕まえていく。それが私からの依頼さ』

ということらしい、深く考えるかのように押し黙るジーン。護衛役のイーサン・ウェーバーもこの成り行きをただ黙ってみている。はたしてジーンはどのようにこの依頼を受託するのか。

『一つ質問を、仮にその密売人を連れ出し逮捕したとして、その後どうするおつもりで?』

『そんなの決まってる、しかるべき法の裁きを受けさせて、その後教団にも責任追及として今回の失態に関して重く受け止めてもらうつもりだ』

ここにきて突然ジーンが立ち上がり、なにやら凄まじい威圧感を放ちながらライア総裁を見下ろし。そして…

『大方の事情は分かりました、では結論からいいましょう……下らない茶番劇の始末をつけたいのなら他をあたってもらおう、我々には付き合いきれないふざけた依頼だ』

『……な、なんだと!』

一瞬だったが凍りつくような沈黙が流れた。

まぁ、俺にはなんとなく予想が出来た結果だったからさほど驚きはしない。だが向こうさんは大層なお怒りのご様子だ。当然だろうな。この結果に横で突っ立っていたイーサン・ウェーバーも随分と動揺している。

『種族の友好関係に関わるこの問題が下らないだと!ふざけるな!!』

オフィスルームにライア総裁の怒鳴り声が響く、この静かな空間の中そんな大声を出さなくても十分に聞こえるというのに。

『種族の友好関係?笑わせる、ここまで事態をややこしくもつれ込んだのはあなた方だということに気づいていないようだ』

『なにぃ!』

ジーンの口調が完全に変わっている。といよりも久しぶりにキレてるんじゃないのか?

『いいだろう、では一から丁寧に分かりやすく説明してあげましょう。聞き分けのある耳があればの話ですがね』

『……てめぇ』

『ライア総裁!落ち着いてください!』

今にも殴りかかりそうなライア総裁を必死にイーサンが止める。怒りを堪えつつ、再び冷静さを装った顔つきを見せるが、それでもライア総裁はギリギリと音がするぐらい握り拳を作っている。
 
だが俺達にとってはそんな光景はなんのプレッシャーにも感じない。むしろ好都合だ、ジーンもそう思っているはず。
『いいですか?第一に我々が送った情報だ。この情報は非の打ち所がないほどの完璧な情報だ。貴方の暗殺計画の他にも武器のレートや密売人に関しても詳しく記されていたはずだ。たとえ教団がしらを切っても言い逃れが出来ないほどのね、それなのにあなた方は向こうが無関係だの一言で躊躇ってしまった。何故です?』

『だからそれは種族の友好関係が!』

『友好関係?そんなものははなからから無い。あれば教団はその密売人を捕まえてすぐに向こうから差し出すはずだ。貴方のいう友好関係というのは彼らにとって都合のいい口実でしかない、そんなことも分からないのか?』

『……!』

『その上、十分な証拠も出揃っているのに更に確証のある証拠を見つける?話にもならないな、そんなことのために我が社に依頼をしに来られたと考えると非常に腹立たしい、自分の組織の面汚しにならないようそんな無意味な依頼を果たさなければならない社員の気持ちも少しは考えて欲しいものだ』

最もだ、俺たちは確かに与えられた依頼を遂行はするが、都合のいい駒や犬、ましてや奴隷にはならない。
俺たちは消耗品だ。無意味なことに突っ込むほど馬鹿な頭は持ち合わせていない。

『無意味なんかじゃない!その密売人にしかるべき法の裁きをするという目標があるだろ!』

『法の裁き?…フフ…ハッハハハ!』

『何がおかしい!!』

『聞いたか少佐?やっぱりこいつらは何も分かっていない、なんともおめでたい連中だ』
たしかに俺も笑いそうになった。こいつは最高に良い笑い話を土産話にできそうだ。

『そんなことをして何になる?そうしたとしてもいずれそいつはオリの中から出てくる、必要な情報全てこちらにあるというのにみすみす逃がすようなことだ、死刑にするのならば話は別だが友好関係を重視する貴方には出来ないだろうな』

『死刑だと?お前らは狂ってる、そんなことしても火種を生むにしかすぎないだろ!』

『ほう、数ヶ月ほど前、貴方がたが逮捕したテロ組織の幹部。そいつを助けるがために、武装した大部隊テログループがその留置所を襲撃し、ガーディアンズを含め数十人の死人をだすという結果を生んだ貴方が我々を目の前にして狂っていると?』

『そ!それは!』

『いいですか?今のグラールは、何もせずとも火種は起こる。そんな状態だ。それなのに火種の着火剤ともなるものを自分たちの手元に置き続けていた。その結果がそれだ、今必要なのは法による裁きではない、力を行使した制裁こそ最大の効果を発揮する』

そう、SEED撲滅以来もはや種族間の友好関係というものはとうに消えてしまっている。それをあたかも幻を見ているかのように信じ続けてももはや何の意味もない。

『お前ら戦争屋と一緒にするな!!そんな力の使い方は破滅と混沌しか生まない!!』

『ではその戦争屋に仕事を依頼しに来ているのはどこのどいつだ?ふざけた事を抜かすのもいい加減にしたらどうだ?』

『……!?』

 『貴方がたのやり方でここまできて、一体何が生まれた?テロと相次ぐ武装決起集団の増加、SEEDウィルスの感染拡大、見てみろ、一瞬の安らぎの後に生まれてきたのは破滅と混沌じゃないか、今こそ力使ってでも正すべきところは正す時だというのに、その使い方を見出せることすらできない貴方はもはやクズか能無しだ』

ジーンのその言葉にライア総裁は完全に返す言葉を失い、そのまま押し黙まるかのように俯いてしまった。
 
『それに勘違いされては困る、たしかに我々は戦争をビジネスとして代理で行い、暗殺、時には拉致も行ったりする。だがそれはこの世をより混沌に導くためではない。このグラールの均衡を保つために一つの手段として戦っている。グラールが危ういながらもギリギリの均衡を保ってきたのは、我々のような非正規部隊が影で暗躍してきたからだ。見た目はたしかに血なまぐさいやり方そのものだが、見せ掛けだけの友好関係というアンバランスな均衡を保ち続けるよりよほど効率がいい。理解できるか?まぁ貴方には一生理解できないかもしれませんが』

光あってこその闇。日の当たるところには必ず影ができる。ガーディアンズを光と例えるなら闇の部分は俺たちのような存在だ。誰にも評価されることもなく、勲章も授与されることもなく、ただ莫大な金だけを貰って命を懸けて戦っている。やり方は違えと目的は同じだというのに。日の当たる奴らはいつもそのあたりを勘違いする。

『依頼を引き受けて欲しいのなら全権を我々に任せてもらう。それだけだ、無理ならあなた方のみで打開策を見つけることだ。貴方は貴方の仕事をただこなせばそれでいい』

まぁこいつらのやり方ではどう考えても打開策はないだろう。下手に各種族に応援要請をだしても、各々が自分達のことで精一杯な上に、それが向こう側にばれただけでも問題になるからな。そしてそこから連鎖的にどんどん悪化していく。
ジーンの言葉を最後に、また室内に重い沈黙が流れる。

『……わ、分かった』
意を決したかのように口を開くライア総裁、その表情は苦渋の色しかなく、最初の威勢のいい態度はもはや見る影もない。

『その条件――』
『待ってくださいライア総裁!』

とここでせっかく話がまとまりそうだった時に、タイミングを間違ったかのようにイーサン・ウェーバーが会話に割って入ってきた。護衛役が依頼話に入り込むなんてどういう教育をしたらこんな神経を持つのだろうか。

『こんな奴らの言っていることなんて信用しちゃだめです!こいつらの言っていることは詭弁でしかない、そんな正義がゆるされていいはずがありません!』

 その言葉にやれやれといった感じで首を振るジーン。もはや呆れてものも言えないといった感じだ。そんなイーサンの言葉にライア総裁は何の反応もしめしていない。

『若いな、正義のヒーロー気取りのつもりか?少なくとも君よりも遥かに正義というものを理解しているが』
 
『いや違う、そんな事は間違っている。命を犠牲にする正義なんて、あんたら戦争をビジネスにしているような奴らには、それが分からないだけなんだ』
 
こいつは一体何を聞いていたのだろうか。せっかくジーンがご丁寧に過去の事例まで挙げて説明をしたというのに、それをまるっきり分かっていないかのような口ぶり。もうこれはネジの一本が緩んでいてもおかしくないな。
 
『それにあんたは言ったよな?力を駆使した制裁こそ最大の効果を発揮するって、その考え自体が独りよがりの独裁者そのものだ!』

 依頼話がもはやただの抗議になってしまっている。正直言ってガーディアンズの連中がここまでぬるい連中ばかりだったとは。しかもこのイーサンで優秀だと称されているとなると。ひどすぎる。
 
『はぁ~、では一体どうすれば君は納得するというのだ?このままでは話がちっとも終わらないのだが』
 
さすがのジーンもついていけないのか、声が妙に疲れているような感じがした。こんなジーンを見たのは初めてかもしれない。人を不愉快にさせたり疲れさせたりするのに関して本当にこいつらは天才かもしれない。
 
『ライア総裁、今この場でお互いの立場というものを明白にしておく必要があるかと俺は思います。このまま見過ごしておけば、知らない間に火種を広げられてしまうだけです』

 イーサンのこのとんでもない提案に、先ほどまで何の反応も示さなかったライア総裁がまさか!といった感じに顔を上げる。
 そして俺もこの展開はもしやと、先の展開の予想を考えていると。

『ほう、つまりは我々に対して力を駆使し今の内に正そうと?そう捉えてもいいのだな?』

 『今が力を使ってでも正すべきところは正す時だって言うのなら、俺はそう思っている』
 
『イーサンよせ!相手は!』

 『ライア総裁、俺たちが信じているものと、新生ガーディアンズの強さというものをこいつらにも分からせてやるべきです。俺なら心配ありません、任せてください』

 こいつは思いもよらない展開になってきたな。もしかしたらジーンはこの展開を予想していたからこそ俺にブリーフィング前にトレーニングをさせたってわけか?
 
『いいだろう、少佐…相手をしてやってくれ』
 
もう下手に言葉を出しても無駄だと分かったのだろうな。ジーンが気だるそうに言ってきた。まぁ話し合いでも決まるとは思えないからな。
恨みっこなしで、力づくで決めたいって向こうが言い出したんだ。こっちも準備は万端だ。
 
『よろしいのですか?』
『……はぁ………構わんよ』
  
その言葉の後に俺が前に出ると、イーサンもそれに合わせるように前に出てきた。その後ろではライア総裁が心配そうに見守っているのが見えた。逆にジーンはさっさと終わらせてくれ、あとが支えているからというピリピリした空気を背後から放っている。すこぶる機嫌が悪いようだ。本当に今までかつてない程最悪な依頼人だ。

 『……早めに片付けます』

軽く指の骨を鳴らし、後で変に筋が痛くならないよう手首を回し、ついでに簡単なストレッチを行う。
 


『……準備OKだ、おら……来いよ』

身長差もあるおかげでイーサンを思いきり見下し軽く挑発してやる。




さぁて……躾の時間の始まりだ……………
関連記事
web拍手 by FC2
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック:
この記事のトラックバック URL

プロフィール

イリア

管理人:イリア
2011/10/18プレイ開始。
どうでもいいあれこれ。
いわゆる日記ブログ。
リンクは特に制限していません。
バナーが必要な方は下記のバナーをお使いください。
架空星

PSO2用ブログ
PSO2 Frisk!


FC2ブログランキング
管理用
推奨ブラウザ
当ブログはGoogleChrome、Firefox、Operaでの閲覧を推奨します。
IEだとレイアウトがかなり崩れます。
この機会に別ブラウザを利用してみてはいかがですか?
PSUオフィシャル
ファンタシースターユニバース公式サイト
TWITTER
FC2カウンター


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。